のんびり日記

のんびり生きましょう

雪舟 「慧可断臂図」

作品の解説や紹介が目的ではありません。正しい/正しくないなどは置いておいて、自分の感じたこと、考えたこと、想像したことを自由に書きたいと思います。

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今日は雪舟の「慧可断臂図」について見てみる。
中国へ禅を伝えたとされる達磨と後に中国禅宗の二祖となる慧可との出会いの場面。慧可は達磨に弟子入りを懇願するが、断られてしまったので、決意の強さを見せるために自分の左腕を切ったそうだ。

彼らは洞窟の中にいるのだろうか。
岩肌がとても力強いタッチで描かれていて、霊気を帯びている。達磨のもつ威圧感をそのまま表現しているかのように感じられる。で同時に達磨の髭や眉毛の毛も一本一本が極めて繊細に描かれている。
しかしそれとの対比として達磨が身にまとっている服がとても抜けている。輪郭線は太くて薄い線で描かれていて、服自体も生地の元色を残しているだけ。あたかも年取ったおっさんがコスプレしているかのように見える。ちょっとした遊び心でそうしたのだろうか。絵の隅々まで描きこみすぎると、絵を全体的に見たときに少し、窮屈になるのを考慮したのかもしれない。あえて手を抜くところを作ることで、強調したい部分(この絵だと達磨の持つ威圧感)が鑑賞者の目に留まりやすいようにしているのかもしれない。けどこれはかなり上級者テクニックである気がする。ほとんどの作家は、作品を作るとなれば、やはり隅々まで作り込みたいものだ。でも確かに全部に時間を費やして伝えたいことや強調したいことが見えなくなるくらいであれば、どこかで手を抜くのも一つの技術だ。

あとは空間の奥への広がり方が面白い。
何層にも重ねて作られているように見える。飛び出す絵本的な感じで。慧可が手前から奥の達磨に向かっていく様子が描かれているため、それもまた前後方向への空間を広げている。

達磨の目線の先には何があるのかは非常に気になるところではあるが、今日のところはここの辺りにしておきます。

ではでは