のんびり日記

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持統天皇「春過ぎて 夏来たるらし 白栲の 衣干したり 天の香具山」

今日は万葉の歌について書きたいと思います。

”春過ぎて 夏来たるらし 白栲の 衣干したり 天の香具山”

持統天皇に読まれたとされている歌であり、誰もが一度は聞いたことがあるかもしれない。
この歌で一番好きなのは「春過ぎて 夏来たるらし」の部分。当時の人々の時間意識を垣間見ることができる気がする。
春、夏、秋、冬と季節が移ろい循環するものであることに自覚的であり、その移ろいを虫、動物の鳴き声や、咲く花などの自然の中の変化と人々の生活の変化から感じ取っていたのだろうと推測できる。現代を生きる我々と同じで、道歩く人の服装の変化や、スーパーで売られている食品の変化、もしくは公園に咲く花の変化から季節の移ろいを読み取る感覚は分からなくない。
一本一本の木々に綺麗な緑に色づいた葉が付いて、それが天の香具山を作り出している。その色の対比としての白栲の衣。そして空には真っ青な空が広がっている情景が歌から想像される。目の前に広がるその光景から夏の到来を感じたのだろう。
これから始まっていく夏の季節の日々に心踊らせている読み手の気持ちが伝わってきて、夏の到来を心待ちしている自分自身に気がついた。季節の移ろいに心動かされ、美を感じ、その移ろう時間の中で生きる感覚は忘れてはならないと勝手ながらに思った。